アルコールの離脱症状とはどういうものか?
アルコール依存症の特徴の一つで、体内からアルコールがなくなってきた時に出てくる症状です。
- お酒を飲むのをやめたり、飲む量が減った時に出現します。
- そのまま飲まずにいれば、たいてい数日のうちによくなります。
- 大部分の離脱症状は、飲酒によって体内のアルコールの量を上げることによっても消失します。
離脱症状は、出現する時期によって、早期離脱症状群と後期離脱症状群があります。
★早期離脱症状群
飲酒をやめて、数時間~半日後から出現するもの。
症状は、そのまま飲まずにいると2~3日で治まります。
飲酒することでも治まりますが、そうするとそのために飲んだアルコールが新たな離脱症状の原因になるという悪循環に陥ります。
症状は、発汗(特に寝汗)、微熱、不眠、焦燥感、集中力低下、手の震え、下痢、吐き気、嘔吐、動悸、高血圧、けいれん発作(アルコールてんかん)などです。
アルコールてんかんともいうけいれん発作は、アルコールを飲まなくなって12時間~24時間のうちに出始め、2日以内に起こることが多いようです。これはアルコールの離脱期にのみ起こるもので、断酒を続けていれば起きる心配はないです。
★後期離脱症状群
飲酒をやめてから、2~3日で出現するもの。
症状は、振戦せん妄とも呼ばれます。「振戦」とは手の震え。「せん妄」とは軽い意識障害に幻覚が伴ったもの。例えば、体中に小さな虫がはっているように見えて、一生懸命つまみとる動作をするなどです。時間や場所、人物の見当がつかなくなる見当識障害もみられることがあり、興奮状態になることもあります。また、発熱や発汗、全身の震えなどの自律神経症状があります。
そのまま飲まずにいれば1週間程度で消えていきますが、まれに長引くこともあります。
振戦せん妄は、夜間や薄暗いところでは悪化し、明るく安心できる環境では終息しやすい傾向があるようです。
文献)森岡 洋 「よくわかるアルコール依存症 その正体と治し方」 白揚社 2002