4月に入職し、研修の一環としてグループワークやレクチャーを見学させていただきました。依存症の治療に取り組んでおられるたくさんの患者様やご家族様から貴重なお話をうかがうことができ、大変勉強になりました。
まず実感したのは、患者様にとって、安心してありのままの気持ちを開示できる「居場所」がとても大事だということです。グループワークの基本である「言いっぱなし・聞きっぱなし」は、自分が話したことに対して誰からも批判されないことを担保します。批判されない反面、賞賛もされませんが、そんな「他者の評価にさらされない」場が、心から安心して話をするためにも、嘘やごまかしなく自分自身に向き合うためにも、必要なのだと理解できました。
発言を強制されず、誰からの評価も受けず、思いや困りごとをありのまま言葉にすることで自分の内を見つめることができる。グループという連帯感に包まれ、他者の話を聞くことで共感や学びを得る。そうそう理想通りいかなくとも、そういう居場所があるという事実が、根気の要る治療の支えとなります。ご自分(の病気)に向き合うことは患者様ご自身にしかできませんが、治療は一人だけではできないのだと、グループワークを拝見して実感することができました。
もうひとつ痛感したのは、患者様のご家族のお気持ちについてです。お連れ合いやお子さんが病気になることでご家族は大きく巻き込まれていきます。実際にお話をうかがうと、その壮絶さに本当に心が痛みました。依存症は「否認の病」というだけあって渦中のご本人が病気から目を背け続ける中で、ご家族が心配と心労を重ね「何とかしなければ」と焦り来院されます。治療のために家族はこうするべきだ、と頭で理解していても、過度の不安のせいで行動がついていかないご家族様がたくさんおられました。依存症の治療は、支えるご家族様にも「覚悟」を要するのだと実感しました。
そういうご家族こそグループワークやレクチャーに出て「一人ではない」と感じていただきたいです。ご自分をいたわることで気力を養ってほしい。患者様の病態についてさらなる理解を深めていただき、知識を武器に目の前の不安に打ち勝ってほしい。そんな気持ちで患者様やご家族様に寄り添えるよう私自身努力したいと思えました。貴重な勉強の機会を与えていただき、ありがとうございました。
看護師 梶