令和7年度の依存症支援者研修が11月16日(日)に西山クリニックにて開催されました。今年度から研修の日程が変更になり、座学が1日のみとなりました。希望者は後日依存症デイケアの見学、特別講座が受講できる形になりました。高齢者に関わる支援者の方は多岐に渡り、日頃ケースで困っている方から今後関わることが想定される方、現在の関わり方でいいのだろうかと悩みを抱えている方などにご参加頂くことが出来ました。天気のよいお休みの日に研修にご参加頂き、ありがとうございました。 また、いつも休みを返上して研修にご協力いただいている断酒会、AAの方々に感謝申し上げます。
令和7年11月16日(日)10:00~17:00(プログラム)
10:00~12:00 高齢者とアルコール問題~飲んで死ねたら本望だ~
久里浜医療センター 精神科医長 遠山朋海先生(医師)
13:00~13:50 断酒会について/体験談(本人・家族)
愛知県断酒会 林 藤孝氏・林 啓子氏
13:55~15:00 AAについて/AAのモデルミーティング
AA名古屋東グループ・マナ氏
15:10~16:30 グループワーク(高齢者とアルコール問題)
事例提供者:なわ居宅介護支援事業所 小島理恵氏(介護支援専門員)
16:30~17:00 西山先生へのQ&A
最初は、久里浜医療センター遠山朋海先生の講義から始まりました。遠山先生は数々の臨床の中から講義の最初に事例を複数あげ、アルコール依存症の人たちとどういう会話をしているか診察時の状況を話していただき、まだ接したことがない人たちもイメージがしやすかったと思います。高齢者になってからアルコール依存症になる人が増加していること、高齢者のアルコール依存症は断酒率が高いこと。断酒にこだわるのではなく、飲酒の背景にある不安や希死念慮を落ち着かせることが目的であり、高齢者がお酒をやめることはそこに意味があることを話されていました。高齢者が大量飲酒するきっかけや、年齢とともに体内水分量が減り、飲酒量が少なくてもアルコール濃度が高くなり依存症になりやすいこと。精神科以外の科にアルコール依存症疑いの人が散見しており、早めの介入が必要など、気がつかないだけで身近に依存症の人は多く、特別ではないことを話されました。

午後は断酒会のご本人、ご家族である林ご夫妻の体験談とAAのモデルミーティングがありました。ご本人やご家族の話は、毎回参加者が引き込まれています。林さんの断れない、人の顔を見て育ったこと、周囲に助けてと言えずにアルコールに助けを求めてしまった話は、いつ私たちの身に起きてもおかしくないことでした。奥様のお話は、依存症者を抱える家族の傷つきと誰にも相談できない孤独、経済的困窮、家族には支援の手の届きにくいことを再度実感しました。AAのモデルミーティングは、実際に行われているミーティングの様子がよく分かるものでした。AAのモデルミーティングは、いつも和やかな雰囲気があります。自分の大変な経験をさらっと笑い飛ばすような感じで話されます。そこに至るまでには、きっと様々な葛藤や辛さ、罪悪感、否認があったと思います。しかし、語り続けて自分を見つめ続けていくうちに、経験の持つ意味合いが変化してきて、今の語りに至るのだろうと思います。断酒会もAAも継続していくことに意味があると改めて実感しました。
グループワークは、なわ居宅介護支援事業所の小島理恵さんより事例提供していただき、自分だったらどうするか、どう感じるか、対象者が現在の状況に至るまでの背景はどのようなものだったのか等について話し合いました。結論や方法の正しさを求めるものではなく、自分だったらという視点で考えることを目的としています。今回も各グループに林さんご夫妻、AAメンバーの方達に入って頂きました。支援者として思うこと、当人として支援に思うことなど、率直に話ができたと思います。まだまだ話し足りない人もいらしたかと思います。他の人の話を聞いていると、自分では思ってもみなかった気持ちや不安、怖さに気が付く、それを言葉にしてみることが出来ることが、グループワークの醍醐味と言えます。今回のグループワークが、酩酊状態のアルコール依存症の人と関わり、支援者自身が辛さや傷つきを抱えながら支援を行っている人、これからの人、時々出会うことがある人達の一助となれば幸いです。
最後に当クリニック院長の西山先生より、参加者の皆様から頂いた、普段の臨床で思う疑問に答えてもらいました。多くのご質問をいただき、ありがとうございました。アルコール依存症の研修は毎年おこなっておりますでの、来年度以降のご参加もお待ちしています。また、依存症者への支援のご相談は、専用電話にて受け付けていますので、お気軽にご相談下さい。