“幸”か“不幸”かを決めるもの

まずは、以下の表をご覧ください。Aさんは、前期の試験で100点、後期の試験で90点を取りました。
一方、Bさんは前期の試験は60点、後期の試験では80点でした。
 
後期の試験が終わった時点で、A さんとB さん双方に「試験結果についてどう思ったか?」と感想を尋ねたところ、
Aさんは「とても悲しい(T⋏T)ピエン」と答え、Bさんは「すごくうれしい!(>。<)v」との返答でした。
合計点はA さんの方が高く、成績評定もよくなることが確実なのにも関わらず、この時点での幸福度は、圧倒的にB さんの方が高い結果となったのです。

こういった現象は、何故起こるのでしょうか。
そこに関係してくるのが「ビリーフ」と言われる、その人が「元々持っている信念」や、「正しいと信じている考え方」であると言われています。
 例えばA さん、B さんがそれぞれこんな風に考えていたとしたらどうでしょうか。

  • Aさん:「100点以外、意味なんてない。10点も失ってしまった…」
  • Bさん:「過去の自分を越えていくことに意味がある!前回より20点も上がった!」

このような考え方が背景にあったとすれば、上記のような感想になるのも頷けるように思います。

ある出来事が生じた時に、「幸福か?それとも不幸か?」を決めるものとは一体なんでしょうか。
実はそれは「出来事」そのものではなく、その結果をどう解釈し、意味付けるかという「ビリーフ」にかかっていると言われています。
「幸か不幸かを決める鍵は、自分自身の中にある」と言い換えてもよいのかもしれません。

そしてこれはストレスについても同じ事が言えそうです。依存症とストレスの間には深い関連があ
ると言われており、依存症からの回復を目指す時には、ストレス・コントロールがある程度重要な役
割を担ってきます。

ご自身の「ビリーフ」を点検していくことは、そのための最初の一歩となることでしょう。
身に降りかかる嫌な出来事そのものをコントロールすることはなかなか難しいのですが、ストレスそのものを減らすことは、「ビリーフ」を知っていくことによって十分可能であると思われます。
カウンセリングやレクチャー、そしてグループ・ミーティングなどにご参加いただくことが、それを把握していく機会にもなればと思っています。

心理士 松井真佐尚